膝の疾患について

膝関節のスポーツ外傷、障害knee joint

膝関節は、日常生活はもちろん、スポーツ動作においても非常に重要な役割を担っています。ジャンプや着地、ダッシュやストップといった動作で大きな負荷がかかるため、スポーツ選手にとっては特に故障しやすい部位の一つです。ここでは、代表的な3つの膝の外傷・障害について説明します。

① 膝靱帯損傷

膝には主に5つの靱帯(前十字靱帯(Anterior Cruciate Ligament,ACL)、後十字靱帯、内側側副靱帯、外側側副靱帯、内側膝蓋大腿靱帯)があり、関節を安定させる働きをしています。特に重要なのがACLで、急な方向転換やジャンプの着地などで損傷することが多く、手術を行う靱帯損傷の中でも最も頻度が高いです。

ACLが一度切れてしまうと自然にはほとんど治癒せず、スポーツ復帰を目指すには手術とリハビリテーションが基本となります。当院では、ACL再建術をはじめとした靱帯損傷の治療を数多く行っており、早期の競技復帰をサポートしています。

② 膝半月板損傷

半月板は膝関節内にあるC字型の軟骨組織で、クッションの役割や関節の安定化に関与しています。スポーツ中に膝をひねったり、過度の負荷がかかったときに損傷することがあります。

症状としては、膝の痛みや腫れ、可動域制限(曲げ伸ばしのしづらさ)、「引っかかり感」や「ロッキング(関節が動かなくなる)」などが挙げられます。治療は、保存療法(薬物療法や運動療法)から関節鏡を用いた手術(半月板縫合術、半月板部分切除術)まで、症状や損傷の程度に応じて選択されます。

③ 膝軟骨損傷・変形性膝関節症

軟骨は、骨の表面を覆っていて関節の動きを滑らかにする役割があります。スポーツ外傷や強い衝撃により、この軟骨が損傷すると、痛みや腫れ、関節可動域の制限などが生じます。

また、加齢や長年の負荷の蓄積により軟骨がすり減り、関節の変形や慢性的な痛みが出る場合は変形性膝関節症と呼ばれます。中高年に多く見られますが、若い人でも靭帯損傷や半月板損傷を治療せずにスポーツを続けると変形性膝関節症になる場合があります。

治療としては、保存療法(運動療法、装具療法、薬物療法、ヒアルロン酸注射など)が中心ですが、進行した場合には手術(関節鏡下骨穿孔術、骨軟骨柱移植術、自家培養軟骨移植術、膝周囲骨切り術)が検討されます。